2025年5月 読書会だより-田口 晃
NPO推進会議で開いている読書会は、今も続いています。正解を求めるのではなく(そんなものはあるはずもない)、一人一人の考え方を深めてゆくことが狙いなので、なんでも議論するようにしています。
今回5月26日(月)は金子勝「裏金国家ー日本を覆う「2015年体制」の呪縛」朝日新書2024年の第一章を読みました。金子氏は、経済学者としては、一昨年出した本で、現代世界が50年周期のコンドラチェフ波動という大変動期に遭遇しているという捉え方をしています(「現代カタストロフ論」岩波新書)。それについで本書では、政治経済学的な視点から、第二次安倍政権以後の現代日本を「2015年体制」という政官財複合体として捉えている。首相官邸への権力の集中と国会無視、マスコミへの圧力行使を通じて、2015年の安保法制で実質的な憲法改正を行なったというわけです。その基盤には世襲政治家を輩出する小選挙区が存在し、選挙向けの裏金が横行してきた。また、アベノミクスの掛け声とジャブジャブ金融にも関わらず、新しい産業は育たず、旧態依然たる重厚長大産業で GDPは増えていない。というわけで、ここ20年の日本の政治経済を俯瞰しつつ個別問題を検討して、一人一人の現代日本像を作ってゆくのに適した著書と言えるでしょう。
次回は第2章 自浄能力なき隠蔽国家 で、検察、国会、自民党、政治資金規制法改正をあつかいます。
NPO推進北海道会議理事 田口晃