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新年を迎えて

 実物経済の数十倍のマネーが動き、アメリカの一人勝ち誇りが目立ってからもう久しくなります。昨年も、「金利生活者の経済学」(ブハーリン)が幅を効かし、ホリエモンだ、三木谷だポイズン・ピルだと騒ぐ一年でした。しかし、その所為で、実は大切なことが見えにくくなっているのではないでしょうか。大げさなようですが、人類全体のこれからの見通しです。  ものづくりの比重が下がり、対人サービスが人間の社会活動の中心になりつつあること、それから政府・行政の役割が変わりつつあることは動かしがたいとして、その中身はマスコミ、取り分けテレビや政治家のやる単純な二分法には納まりきりません。少し目を凝らせば本当に多様、多彩な動きがあることはみなさん が実感されている通りです。  「官から民へ」と言っても民にも色々あるわけで、金もうけに狂奔する「起業家」が中心と言うわけではありません。さらに、「民」の重要部分を占めつつある NPO にしても今や多種多様になっているのが実情でしょう。職場で政治学入門を講じる必要上、昨年は珍しく新聞の切り抜きをこしらえてみたところ、二日に一つは NPO が取り上げられているのに驚きました。NPO に対するニーズも、自分たちで NPO を立ち上げて世の中を良くしたいと考える人も実に多いということでしょう。他面、官製公益法人が槍玉に挙がり、改 革が進むと、新たに官製 NPO らしきものすらちらほら姿を見せてきたようです。NPO は花盛りなのです。  こうした NPO が活躍しやすい制度条件の整備を進めることと、それぞれの活動を充実させることとが今年も私たちの課題と言えましょう。NPO 活動を通じて、私たちはマネ−・ゲームの支配する世界よりももっと多様で、深い世界を、つまりもっと豊かな世界をつくり出しているのです。そうして、NPO が行政、企業の競合・共存・共栄する状況こそが世界中で進んでいる21世紀の人類世界の展望なのです。新年を迎え、改めて少し広い視野と復初の精神を思い起こすのも精神衛生によろしいのではないでしょうか。 NPO 推進北海道会議 代表 田口 晃