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2025年12月 読書会だより

  11 月 24 日の読書会から、 Y. バルファキス「テクノ封建制」に取り掛かっています。著者はかつてギリシャの財務大臣として、 ECB と対抗して名をあげた経済学者です。前世紀の80年代から資本主義が変わってきたことは多くの皆さんの実感してきたところでしょう。それをどう捉えるか、どう名づけるか。筆者は封建制から資本制への移行過程まで振り返り、経済が地代中心から利潤中心に変化したのが資本主義だ、と定義します。それが今や GAFAM 主体の新しい「地代」の経済に変わった、というのです。地代中心の経済、つまり「封建制」と言うわけです。壮大な見取り図なので、大風呂敷と思われがちですが、実はよく考えられているので、立ち止まって色々議論できると経済への理解が深まると思います。テクノ封建制の後の世界について、著者は「クソッタレ資本主義が倒れた後の、もう一つの世界」と言う SF 風のユートピア小説も書いており、こちらもよく考えられた名作です。 NPO推進北海道会議理事 田口晃